とヨニ娘
 

 
新羅時代, 古昌と呼ばれたここでは旅館(当時は‘院’と呼ばれた)が一つあった。この旅館い8才の時に親を失い、お使いをする‘ヨン (燕)’という綺麗な娘が住んでいた。
ヨンは顔も美しく、心も優しかったので常に通りすがりの旅人達にもてなし積善を行った。部屋を暖め、食事も多く作り、 洗濯までやったヨンはいつも夜遅く寝た。
しかも寝る前にも字を勉強し、あしたはどの様に親切にお客様をお手伝いできるか考えていた。
しかも仏心も立派であり、毎日夜明けに起きて掃除を終えた後、念仏を唱え、全ての旅人はヨンの誠実な真心と心遣に感心していた。

隣の村の男たちも皆ひそかにヨンを慕っていた。この院の隣の村に金という名字を持つ金持ちが住んでいたが、彼は他人を同情したこ とがない正味であり、乞食を見るとそのまま追い出すひどい人であった。
この様なひどい性格の金さんの息子もヨンと結婚したい気持は他の男共と変りは無かった。
だが、この様な金持ちの息子も心が美しいヨンにだけは簡単に手を出すことが出来なかった。
だが、ある日この息子が若い年で死にあの世に行った。閻魔大王は彼を受け名簿を探してやっと名前を見つけてずうずうしく、

“いや、おぬしはまだここに来るはずじゃないのに、せっかく来たから人情を払っていく気はないかね?”と閻魔大王が聞いてきた。

それに対して彼は、“今私には何も持っていません。”と答えた。閻魔大王は頷きながらしばらく考え込み、笑いながら彼をまた呼び止めた。
“おい其方!おぬしは生きているとき悪行を積み重ねてきたので、次の生には牛に生まれ変わるだろう。 おぬしの倉庫は空であるが、おぬしの住む隣の村の院で暮すヨンは良い行いを沢山行ったので倉庫には財宝がいっぱいある。
つまりそれを借りて人情を行ってきなさい。”
この言葉でその男は大変驚いたが、生き返ることが出来るという嬉しさに、ヨンの財宝を分けてもらいこの世に戻ってきた。
生き返ったその男はその場でヨンに会いに行き、自分の財産を分けて与えた。
これに対してヨンはその財産を全て仏様の為に使おう と決心し、ちょうどその頃に石仏が雨風にさらされていたので、道詵國師に頼んでに石仏を中心に大きな仏殿を建てることにした。
この工事は莫大な規模であって、5年という長い歳月がかかった。
だが、仏殿工事の最後の日に、瓦を組み立てていた瓦工が大きな屋根から落ちるという自己が怒った。
瓦工の体はまるで瓦が割れたかのようにバラバラに砕け、魂はツバメとなり空中に舞い上がった。
よって、この寺を名を‘燕飛寺’または、‘燕尾寺’と呼び、この場所を‘ジェビウォン’または‘燕飛院’と呼ぶようになった。
ヨンは38の年になる年の霜月の24日に処女のまま死んだ。その夜、天地が崩れるような音がして、大きな岩が二つに分れ、 現在の石仏が表れ、石仏は、ヨンの魂が変化したものだと伝われている。